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第二話



どうすれば『人間力』は上がるのでしょうか?

正解はありません。立野くんがわからなかったのも当然です。

 

まずは「実行力」、すなわち、やってみることが必要です。

頭で考えるだけでは、成長も、成功もありません。

 

では、いつ「実行力」が問われるのでしょうか?

やった方がいい、と頭では理解しているが、なかなかできないときは、まさにそうです。

しかし、このことは、あえて言うまでもなく、みなさんもわかっていまよね。

 

『人間力』を上げるために、意外と見落としているのは、何でしょうか?

それはまず、『目的を設定する』ということです。

 

目標と目的は違います。

 

目的は、まさに「的(まと)」であり、目標より高く、上にあります。

要するに、目標は、目的へのプロセスであり、数値で表現されることが多く、

目的は、最終的にめざす姿であり、抽象的に表現されます。

 

一つの例としては、目標は、●件の獲得を達成し、「個人表彰を受賞すること」であり、

目的は、個人表彰を連続受賞して、『仕事で信頼される人になること』です。

 

この『目的の設定』が実は難しいのです。

 

私たちは、どんな言動を大切にするのか、明確に選択する必要があります。

この『目的を設定する実行力』がまず問われているのです。

“自分は、どんなビジネスパーソン(社会人)になりたいのか”

この問いかけに一つでも答えを出すことは、みなさんが考えているよりも

はるかに大切ですよ。

最初は、3行で十分です。一文でも構いません。

たとえば、一文なら、『置かれた場所で咲く』(元ノートルダム清心女子大学理事長/渡辺和子)

2文字なら、マンガの立野くんのように『信頼』、あるいは『受容』などです。

あせらず、少しずつ、増やせばいいのです。

 

まずは、『目的を設定する』ということを実行してみましょう。

 

すぐに思いつく人もいれば、1ヵ月以上かかる人もいるでしょう。

また、目的が増えたり減ったり、あるいは変わることもあります。

それでまったく構いません。

設定した目的に眼を向け続けていれば、仕事のいろいろな場面で迷ったときの

道標になります。

きっと、一歩ずつ目的に近づきますよ。

 

********************

 

遠回りに感じても、立野くんのように「信頼される人になる」などの目的を

まずは設定し、それを日々の仕事で地道に実行することが、結局は『人間力』を上げる

近道であり、その道は、きっと「仕事力」を上げることにもつながるのです。

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