人を動かす③ ~二つ目のキーワード『希望』……暗闇では〝光〟が必要~
冒頭から半世紀以上前の
ややドライな実験の話で申し訳ありません。
米国の ジョンズ・ホプキンス大学で、
ラット(ネズミ)を
「溺れ死ぬか、生きるために泳ぐか」
という過酷な状況に置いた場合、
何時間くらいがんばれるかを調べました。
結果は
「最短15分、最長60時間以上」と
実に200倍以上の差がつきました!
さらに調べたところ
「がんばれば苦しい状況から抜けだせる」
という〝光〟を見出だす
成功体験を積ませたラットは、
15分では一匹も溺れず、
すべて60時間 程度粘ったとのことです。
人とラットは違います。
しかしながら、人も『希望』が見えれば
がんばりやすくなります。
暗闇でも〝光〟があれば、
そこに向かって歩んでいける
という感じでしょうか。
仕事では
「がんばればうまく行く」
「十分にやれそうだ」
という〝自信〟がまずは必要です。
逆に
「がんばってもうまく行きそうにない」
「とてもやれそうにない」というように
〝光〟が全く見えていない部下を
やる気にして動かすのは至難です。
勿論、精神論だけで『希望』は見えません。
部下が〝自信〟を持つためには、
「何をどうすればいいかわかる」
と心底納得するまで寄り添って
具体的かつ細分化された
〝道筋の明示〟をすることが必要です。
部下と共に歩む中で、
適切なフィードバックを与えつつ、
『希望』への接近を部下が実感できれば、
やる気も上がりやすいと言えます。
以上が
「人を動かす」ための第二のキーワード
『希望』の概要です。
ポイントは〝自信〟
及びそこに至るまでの細分化された
〝道筋の明示〟です。
次回は三つの中の最後のキーワードである
『関係』をお話しします。
参考資料:シーナ・アイエンガー著「選択の科学」
植木理恵著「本当にわかる心理学」